熱中症と水分補給

熱中症による死亡者はそれぞれの年にバラつきがあります。

また暑熱環境下では熱中症のリスクが大きく高まるとされ、運動時の水分補給が極めて重要とされます。

一般的に体重の3%の脱水で持久性体力の低下、5%では筋力・パワーの低下が研究で明らかになっています。

以下の症状は運動中の脱水と関係が強いとされる症状です。

・トレーニング中のパフォーマンス低下
・正確な判断の低下
・モチベーションの低下

体重の3%の脱水で持久性体力の低下、5%では筋力やパワーの低下が研究で明らかになっている。

適切な水分補給とは

運動時は安静時に比べてより多くの水分を必要とします。

筋肉が活動する事でエネルギーを生み出し、熱となって体外に放出する事で体内の恒常性を維持します。

この時、体内の水分を気化熱として利用する事で熱の調整を行う為、水分摂取のタイミングと量がパフォーマンス維持にとって何よりも重要になります。

□運動開始前 250~500ml
□水分摂取量 200~250ml/1回当たり
□摂取回数  2回~4回/1時間当たり
□水の温度  5~15℃
□水分の組成 0.1~0.2%の食塩と4~8%の糖分

暑熱環境下での影響

運動に伴い体温が上昇すると発汗による気化熱の作用から、身体は一定の温度を保つように働きます。

しかし、水分補給の量が足らない場合や極端に発汗量が多い場合は脱水に陥ります。

極度の脱水症状では以下の生理的反応が見られます。

・電解質の喪失や循環血流量の低下
・腎機能の低下
・心血管系機能の低下
・体温調節機能の低下
・中枢神経障害

発生時の対処

その日のコンディションや環境下によっては、どんなに気を付けていたとしても脱水症状が発生する場合があります。

実際に起きてしまった場合、速やかに対処する事が望まれます。

・呼びかけに応じない場合は救急車を呼ぶ。
・涼しい場所へ避難し、衣服を緩めなるべく体を冷やすよう対処する。
・特に腋窩、大腿三角部へ氷嚢や氷パットを用いた冷却が良い。
・可能なら水分・塩分の摂取を促し、回復体位や安静に出来る体位で十分な休息を取り回復を待つ。

回復体位
20210504

最後に

熱中症により毎年多くの人が体調を崩し、最悪の場合死に至るケースが相次いでいます。

2019年(平成31年・令和元年)/5~9月に発生した熱中症を起因とする搬送者は71,317名、その多くが野外や屋外とされています。

暑くなるこれからの季節に正しい水分補給の知識を身につけ、運動時の正しい予防や対処が必要とされます。

【熱中症による救急搬送人員(5~9月)】

2015年(平成27年)      55,852人
2016年(平成28年)      50,412人
2017年(平成29年)      52,984人
2018年(平成30年)      95,137人
2019年(平成31年・令和元年) 71,317人
※総務省消防庁「熱中症による搬送人員」より

【参照・引用】

総務省消防庁:熱中症情報

「熱中症を防ごう」/Japan Sports Asosiation