インテグレーテッドトレーニングは、動作に焦点を当てる事により競技者を高いレベルに押し上げ、多くの方の障害予防に役立つ体系的なトレーニングです。
全体で6つのトレーニングプログラムで構成されており、それぞれをどのように組み合わせるのかが重要になります。
フレキシビリティトレーニング
Flexbilityとは「適応性」や「弾力性」を意味する言葉です。
これは適切な関節可動域に於いて、正しく神経筋がコントロールできる状態をいいます。
開脚ストレッチをすれば股関節可動域の向上が見込まれます。
しかし、それを実際に動作へ応用できるかどうかは神経筋の制御という要素が関わってきます。
可動域が大きくても、その可動域内で身体をコントロールする力や筋出力が正しく伴わなければパフォーマンス低下や障害に繋がります。
つまり傷害を予防し、パフォーマンス向上を目的とする為に、正しい位置で正しい筋出力を向上させるプログラムになります。
心肺持久力トレーニング
心肺持久力トレーニング(Cardiopulmonary endurance training)は、疲労によるパフォーマンスの低下や心肺持久力の向上を目的とするプログラムになります。
多くの場合、筋肥大や筋持久力については考慮されますが、心肺機能までを含めた心肺持久力は過小評価される事が多く、トレーニングで生かされていない場面が多いとされます。
筋持久力が向上しても心肺機能が共に高まるようにならなければ持久系競技で生かすことは難しいでしょう。
体幹トレーニング
体幹トレーニング(Core Training)は、パフォーマンスの基礎であり、筋パワーを適切に伝達する為のプログラム
体幹とは上肢と下肢、頭部と顔面を除いた部位になり、多くの動作で力の伝達を行うまたは、生み出す部位となります。
特に筋力とスピードを乗じた「筋パワー」を適切なものとする体幹は、様々な動作を行う上で重視されるポイントになるはずですが、多くのアスリートが軽視する現状があります。
バランストレーニング
バランストレーニング(Balance Training)は、姿勢保持能力を高めるトレーニングを指します。
競技に限らず日常生活に於いても片足の動作は多くの場面でみられます。
歩く、走る、方向転換は勿論、立ち上がりや座り込みなども左右の脚それぞれに均等に重心を乗せるというのは稀です。
不安定な姿勢や動作が生み出す障害リスクを低減し、パフォーマンスを向上させる目的として姿勢保持能力の向上が求められ、それを叶えるプログラムがバランストレーニングになります。
プライオメトリックトレーニング
プライオメトリックトレーニング(Plyometric Training)は、腱の弾性エネルギーと伸張反射を利用する事によって筋出力を高めるトレーニングを指します。
冷戦下のソ連に於いてオリンピック競技のメダル獲得数を国家の威信として考え、三段跳びを対象に研究が行われトレーニングとして確立しました。
負荷設定や動作など細かい点に注視する事が重要であり、多くの動作や年齢に有効とされます。
神経筋効率を向上させる為、ストレッチショートニングサイクルを活用、出力の向上を目指すプログラムになります。
SAQトレーニング
SAQトレーニング(SAQ Training)は、速度(Speed)・俊敏性(Agility)・素早さ(Quickness)に着目したトレーニングを指します。
多くの競技に於いて動作のトップスピード、動作の切り返し、刺激に反応する素早さは重要な要素になります。
それぞれが独立した要素にありながら、相互的に依存しており、SAQの相乗効果によってパフォーマンスを高めるプログラムとなります。
ストレングストレーニング
ストレングストレーニング(Strength Training)は、力や強さを高めるトレーニングを指します。
筋肉は断面積が大きければ力の出力が高まる訳ではなく、脳からの正しい指令によって刺激が伝わる事で、筋の出力として発揮されます。
どのような環境であっても適切に力を発揮できる能力、つまり神経筋の向上を目的としたプログラムになります。
スポーツパフォーマンストレーニング
スポーツパフォーマンストレーニング(Sports Performance Training)は、競技に於いて成績や結果を高いレベルまで求め、同時に障害を予防するトレーニングになります。
上述したパフォーマンス向上と障害予防は2大目的になる訳ですが、その為に体組成の改善が重要になります。
体組成改善とは体脂肪を減少させ、必要であれば筋肉量を増やすという考え方になり、適正な身体から2大目的を達成するプログラムになります。