テニス肘に対してのアプローチ(実践編)

   

実際に外側上顆痛に対してのアプローチ方法を以下に紹介します。

その前に、外側上顆痛以外にも肘外側痛を伴う疾患はいくつも存在する為、治療プロトコルを処方する前に医療専門職のスクリーニングを受ける必要があります。

通院されている病院や医療専門家にアプローチ方法を相談した後、行うことが望ましいとされます。

初めに

【臨床編】にあるような等速性マシーンは限られた施設でのみ利用可能な為、一般的なガイドラインでは短縮性負荷を用いず、また時間をかけて制御しながら伸張性局面を実施する必要があります。

また、可動域で痛みを感じない事が理想であり、痛みを伴う可動域でのエクササイズは伸展性を低下させたり、傷害を悪化させる可能性がある為、痛みは避けるべきであると考えます。

 

ダンベル エキセントリック リスト エクステンション

1.手首を背屈させた状態で膝の上に構えます。

 

2.伸張性局面を意識しながらゆっくりとダンベルを降ろしていきます。

 

 

3.反対側の手で手首をゆっくりサポートしながら初めの状態に戻し、動作を繰り返します。

パッド エキセントリック リスト エクステンション

1.写真ではスクワットパットを用いています。対象の腕でしっかりと握ります。

 

2.対象の前腕は背屈状態を保持し、反対側の手でパッドを時計回りに回転させます。

 

3.対象の前腕は伸張性局面を意識しながらゆっくりと掌屈の状態まで動作を行います。

ラバー エキセントリック リスト スピネーション

1.ラバーを支柱等に結び、前腕を回外させた状態で把持します。

 

2.先ほどの位置よりも親指側へ移動し、ラバーの張力を強めます。

 

3.伸張性局面を意識しながら前腕の回内動作を行います。

 

4.180度前腕が回旋した後、初めの位置に戻り手首を回外位で把持し、繰り返します。

ダンベル エキセントリック リスト スピネーション

1.前腕をニュートラルポジションで構えダンベルの端を握ります。

 

2.ゆっくりと伸張性局面を意識しながら回内させます。

 

3.痛みの出ない範囲で回内しきったら、初めの動作に戻り繰り返します。

 

4.重量が筋出力よりも大きい場合、前腕を痛める可能性がある事から反対の手で補助をしながら行うと良いでしょう。

推奨されるガイドライン

現在、明確な負荷設定というのが【臨床編】にあるように難しいのが現状です。

その為、一般的なガイドラインではなく、推奨されるガイドラインとして以下の負荷設定を取り入れる方法があります。

-頻度- 1週間に3回実施し、24~48時間の休息を設ける。
-期間- 9週間よりも長い長期の介入が望ましい。
-強度- 1RM30%から開始し、9週間かけて1RM80%を目指す。
-回数- 10レップ-2SET
-注意点- レップを通じて動作スピードは変化させず、伸張性局面を約4~6秒維持する。

最後に

リハビリテーションに於いて近年の研究では腱障害の伸張性エクササイズが注目を浴びており、実際にアキレス腱炎や外側上顆痛に対して一定の効果が認められている事から、今後も多くの研究が行われると期待されています。

一般的にテニス肘は治っても繰り返し、その後も痛みと付き合っていかなければいけないと考えられている背景があります。

伸張性エクササイズによって外側上顆痛に対してポジティブな結果となれば、生涯スポーツにも貢献する為、非常に重要なアプローチと考えています。