フォースカップルとは、ある特定の動作で他の筋同士が常に協調して働く様式を指します。
実際には関節の動きに対してフォースカップルが働く為、関節までを含めてジョイントサポートシステムと呼ばれており、このシステムには大きく分けると4つに大別されます。
長軸方向に対してや体幹の回旋など、それぞれで特異的なフォースカップルを作り出します。
深垂直サブシステム
深垂直サブシステム(Deep Longitudinal subsystem)は地面に対して長軸方向に力を伝えます。
脊柱起立筋、胸腰筋膜、仙結節靱帯、大腿二頭筋、腓骨筋長頭が関与し、走行や三段跳びの跳躍等の動作で大きく関わってきます。
DSL(Deep Longitudinal subsystem)
後方斜めサブシステム
後方斜めサブシステム(Posterior Oblique Subsystem)は、身体を旋回する動作の背側で対角線上の下肢と上肢の関係になります。
広背筋と大殿筋は胸腰筋膜に繋がる為、対角線上の関係を生み出し、仙腸関節を安定させる働きを持ちます。
空手の逆突きや野球のスイングなどの、後方の下肢から対角線上の上肢へ力を伝える動作で大きく関わってきます。
POS(Posterior Oblique Subsystem)
前方斜めサブシステム
前方斜めサブシステム(Anterior Oblique Subsystem)は、身体を回旋する動作の腹側で対角線上の下肢と上肢の関係になります。
腹斜筋群と内転筋群、股関節外旋筋が関与し、腹側の下肢と上肢を対角線で結ぶように力を伝達します。
陸上の投擲競(やり投げ、ハンマー投げ)などの足を踏み出して回旋を行う動作で大きく関わってくるフォースカップルになります。
AOS(Anterior Oblique Subsystem)
側方サブシステム
側方サブシステム(Lateral Subsystem)は、片足で身体をコントロールする場合に身体の安定に貢献する筋群の関係になります。
支持脚の中殿筋、大腿筋膜張筋、内転筋群と反対側の腰方形筋からなる関係であり、前額面上で大腿骨と骨盤をコントロールする働きを持ちます。
フィギュアスケートの片足での回転、体操競技の片足支持などの動作で大きく関わるフォースカップルです。
LS(Lateral Subsystem)
最後に。
これら4つのジョイントサポートシステムは、身体の動きと筋群の協調に関係する考え方になります。
つまり、これらの代表的なフォースカップルを理解する事は様々な競技や動作に於いて重要な捉え方に繋がり、レジスタンストレーニングを行う際、ジョイントサポートシステムの理屈に沿ったトレーニングを実施する事は力発揮に有意な効果をもたらしてくれます。
全ての動作が必ずしも深垂直、後方斜め、前方斜め、側方のどれかに分類出来るという訳ではなく、逆にどれか一方の場合や複数の場合もあり得る為、しっかりと動作を観察する事が重要となります。