インテグレーテッドトレーニングとは

ファンクショナルトレーニングやコアトレーニングなど、トレーナーはクライアントに適したプログラムを提供しなければならずニーズを把握する事が重要です。
数多くある中で、特に動作へ焦点を当てた独自のメソッドを提供しているNASMのIntegrated Trainingについて考えたいと思います。

「機能的筋力に焦点をあてる」

動作は1つの面だけでは完結することなく前額面、矢状面、水平面の3面によって捉える事が出来ます。

それらの面に於いて、関節運動を行うわけですがそれを担う筋肉の動きも大きく3つに考える事が出来ます。

筋の長さの変化から短縮性収縮、等尺性収縮、伸張性収縮となり、これらの筋と面においての神経筋能力をファンクショナルストレングスと言います。

【機能的筋力=Fanctional strength】

前額面・矢状面・水平面

短縮性収縮・長尺性収縮・伸張性収縮

「神経筋効率に焦点を当てる」

動作をする為に脳が司令塔となって脊髄に信号を送ります。

それにより腕を伸ばしたり、足を振り上げたり、体幹を固定したりする訳ですが動きの中では筋肉が4つの役割を担います。

動作のメインとなる筋肉である主働筋、それを補佐する協動筋、主働筋と対になる拮抗筋、関節を固定する拮抗筋がそれぞれ働き動作となります。

これら筋肉の役割を相乗的に動員する能力が神経筋効率と言います。

【神経筋効率=Neuromuscular Effciency】

主働筋・協働筋・拮抗筋・安定筋

「原則1-総合的トレーニングの連続性」

どんな動作に於いても柔軟性、安定性、体幹保持、爆発的パワーなどの要素が複数絡んできます。
その為、単一のトレーニング効果のみ向上させるのではなく、高めあったそれぞれの要素を包括的に運動の中で使う事が必要になります。

Comprehensively Training

「原則2-SSC」

筋の特性として伸張性収縮の後、短時間で短縮性収縮に切り替える事によって筋のみでは発揮できない大きな力を出力する事が出来ます。
Stretch-Shortening Cycleと呼ばれる原理は伸張反射による弾性エネルギーの蓄積によって生み出されます。
筋肥大をなるべく起こさず、筋力の向上に焦点を当てる事は筋線維の動員率を増やす事に繋がります。

Stretch-Shortening cycle

「原則3-3面運動」

従来のトレーニングでは矢状面動作が主体となり、回旋などの水平面動作や外転などの前額面動作が不十分でした。
多くの競技や動作では3面運動の複合によって成り立つ事から、それらに焦点を当てたトレーニングが必要となります。
また傷害の多くは前額面または水平面での動作が多く、障害予防の観点からも矢状面以外の運動に着目する必要があります。

Planes of the Body

「原則4-筋機能」

1つの筋肉は関節動作によって機能が変化する為、適切な筋機能を発揮できるようにトレーニングを行う必要があります。
大胸筋の場合、水平内転や内旋で短縮性収縮、水平外転では伸張性収縮、胸鎖関節のスタビリティでは等尺性収縮を行っています。
総じて適切な動作では理想的な筋機能を追求するトレーニングが必要となります。

Types of Muscle Contraction

「原則5-筋バランスの最適化」

筋肉は長さによって力の最適な出力があり、それ以外で無理に行うと関節や組織に過度な負荷となります(長さ・張力関係)
また、特定の筋肉が拘縮すると拮抗筋の関係である筋に対しても影響が現れ、パフォーマンスに悪影響を及ぼします(相反抑制)
最後に主働筋と協働筋も互いに影響しており、片方の筋力低下はもう一方の負荷となって現れます(協働筋支配)

Length-Tension Relationship

Reciprocal Inhibition

Synergistic Dominance

「原則6-理想の姿勢」

意図しない代償動作とは神経筋効率の低下によって起こるとされ、障害リスクを上昇させます。
その為、正しい姿勢や動作を意識したトレーニングが必要となります。

Correct posture