筋トレ種目の順番/コアエクササイズと補助エクササイズ

筋力トレーニングを行う順番には、捉える視点によって多くの組み合わせがあります。

例えばベンチプレスとラットプルダウンを交互に組み替える方法はスーパーセット法と呼ばれ、「主働筋」と相反して働く「拮抗筋」に焦点を当てたトレーニングの組み合わせとなります。

またスクワットの後にチンニングを行うといったコンビネーションの配列は、コアエクササイズと補助エクササイズという考え方から「押す」と「引く」の動作に視点を当ててトレーニングの順番としています。

主動筋と拮抗筋に焦点を当てた組み合わせ
例)ベンチプレス→ラットプルダウン

動作に焦点を当てた組み合わせ
例)スクワット→チンニング

以下にトレーニングの順番を考える上で重要な視点を見つめていきます。

主要かサブかで分ける

動員される筋肉の大きさや運動パターンの複雑さ、またはクライアントのトレーニング目標への貢献度に基づいて以下の2種類に分けることが出来ます。

①コアエクササイズ
②補助エクササイズ

①コアエクササイズ/Core exercise

コアエクササイズとは、2つ以上の関節が関与する多関節エクササイズであり、大筋群が動員されるという条件を満たしている種目です。

特定のトレーニング目標を達成する上で非常に重要であり、メニュー構成の多くはコアエクササイズが中心となっている場合が多いです。

【Core exercise】
スクワット、パワークリーン、フロントスクワット、バックスクワット、ベンチプレス、ショルダープレスなど

ストラクチュラルエクササイズ/Structural exercise

また、コアエクササイズの多くが脊柱に負荷がかかり、直立姿勢を保持するトレーニングが多い為、それらを総じて「ストラクチュラルエクササイズ/Structural exercise」と呼ばれます。

【Structural exercise】
デッドリフト、スクワット、フォワーワードランジ

「パワーエクササイズ・爆発的エクササイズ/Power exercise」

ストラクチュアルエクササイズの中でも非常に素早い動作で行われるトレーニングを「パワーエクササイズ・爆発的エクササイズ/Power exercise」と呼びます。

【Power exercise】
プッシュプレス、スナッチプル、パワークリーンなど

②補助エクササイズ

補助エクササイズとは、単関節エクササイズであり、動員される筋量が少ないという特徴を持つ種目です。

トレーニングプログラムの主要な要素にはなりませんが、関節周辺の筋バランスを維持し、傷害の回復や予防といった働きをする為、補助的に用いられる事の多いトレーニングになります。

また先述したコアエクササイズの効果を高める働きを持つため、トレーニングメニューでは疎かに出来ない種目でもあります。

【Auxiliary exercise】
ダンベルバイセップスカール、バーベルトライセップスエクステンション、ペックデック、ダンベルフライなど

応用

コアエクササイズと補助エクササイズという観点で捉えた場合、以下のような種目があります。

それらのメニュー構成を考えた場合、コアエクササイズを優先したトレーニングメニューを考えると、目的とするトレーニングへの大きな近道となります。

~実施トレーニング~
アブドミナルクランチ、
パワークリーン、ベンチプレス、トライセップス・エクステンション

~トレーニングの優先順位~
Power clean → Bench press → Triceps extension → Abdominal crunch

コアエクササイズがパワークリーンとベンチプレスとなり、補助エクササイズがトライセップスエクステンションとアブドミナルクランチとなります。

コアエクササイズの中でも順位の優先として、爆発的なパワーを用いるパワークリーンが最優先であり、その後にベンチプレスとなります。

補助エクササイズはどちらを優先しても構いませんが、上腕三頭筋のトレーニングであるトライセップスエクステンションを立位で行う場合を考えるとアブドミナルクランチは最終順位となります。

腹直筋が疲労している状態では、腹圧をうまく高める事が難しく、不安定なフォームを招くリスクを考えると最後に行う種目と捉えるのが妥当です。

最後に。

正しいトレーニングにはそれを支える理屈があります。

その理屈なしにトレーニングを行う事は遠回りになってしまいます。

クライアントにとってどの順番で行う事が目標到達への最小労力なのかを考えると、トレーニング種目の順位は自ずと見えてくるのかも知れません。


【参照・引用】
NSCA JAPAN 第2版NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識