人体では100種類以上のホルモンが確認されています。
その中でも睡眠と密接に関わっているホルモンが3つあり、これらの働きを知り質の高い睡眠に押し上げることが身体を健康に保つ必須条件と言われております。
睡眠と深く関係のあるホルモン
①成長ホルモン
②メラトニン
③コルチゾール
①成長ホルモン
脳下垂体から分泌され、組織の損傷を修復し、疲労回復働きを持つホルモンです。
「Growth hormone」と英語では表記されるように「成長」に欠かせない働きを持ちます。
子供の時には骨成長と筋合成に大きく貢献し、大人では代謝機能を促す働きを持ちます。
一生を通して分泌されますが年齢によって分泌量に大きな違いがあり、思春期前を100%とした場合、思春期後期では200%、30歳~40歳で50%となります。
分泌は睡眠に大きく依存しており、就寝直後の深いノンレム睡眠に集中して分泌されます。
・脳下垂体で分泌される
・子供は骨成長と筋合成、大人は代謝促進に貢献する
・思春期を1とした場合、思春期後期は2倍、30~40歳で0.5倍の分泌量となる
・分泌量は睡眠に依存(就寝直後の深いノンレム睡眠時に分泌)
②メラトニン
英語では「Melatonin」と表記され松果体において生合成されるホルモンであり、生体リズム調節の働きを持っています。
睡眠や覚醒のリズム、概日リズムといった体内時計といわれる固有の周期で繰り返す生理現象に大きな影響を及ぼします。
メラトニンの血中濃度が増加すると眠気が誘発されますが、明暗に大きく依存している為、夜間に強い照明を浴びるとメラトニンの分泌量は低下します。
また日内変動と呼ばれる1日の中で分泌量が変化する性質を持ち、早朝の強い光を浴びてから14~16時間後に血中濃度が最大になる特徴があります。
朝8時に太陽の光を浴びると22時~24時にメラトニン濃度がピークを迎えます。
・松果体で生合成され、眠気を誘発する
・睡眠リズム、覚醒リズム、概日リズムに影響を及ぼす
・分泌量は明暗に依存する
・強い光を浴びてから14~16時間後に血中濃度が最大になる
③コルチゾール
「Cortisol」は副腎皮質から分泌されるホルモンであり、ピルビン酸からグルコースを合成する糖新生や筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪細胞での代謝や免疫抑制や抗炎症の働きを持っています。
強いストレスを受けると分泌量が増える事からストレスホルモンの指標となっておりますが、通常時は時刻に依存して分泌されます。
起床前に分泌量が最大となる事から、体温や血糖値を上昇させ、覚醒の為に準備をする働きを持っています。
・副腎皮質で分泌される
・糖新生やたんぱく質代謝、脂肪細胞での代謝に関わる
・免疫抑制や抗炎症作用の働きを持つ
・時刻に依存して分泌(起床前に最大分泌)
・体温と血糖値の上昇、覚醒準備に貢献する
最後に。
成長ホルモン、メラトニン、コルチゾールは睡眠と深いかかわりを持つホルモンであり、健康を保つうえで重要な働きをします。
つまり不十分な睡眠は以下の悪影響を及ぼします。
・メラトニンの日内変動がずれる事による不眠症状の増加
・コルチゾールの過剰分泌による自律神経系への乱れなど
健全な精神と身体は睡眠が担っているといっても過言ではありません。
しっかりと睡眠を取れる工夫が現代人には必要となってきます。