ベーグルも小麦粉を主体として酵母やパン種によって発酵させる食品である為「パン」の部類になりますが、原材料に牛乳や卵等を使わない事からヘルシーでダイエットに最適といわれています。
食パンと比較してベーグルが「痩せやすいのか」や「カロリーは低いのか」を考察していきます。
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「ベーグル パン どっちが太る」というワードをみると多くの方が、パンは食べたいけれど太りたくないからベーグルと比較してどちらがダイエットに最適なのかといった心理が働いているのかも知れません。
「ベーグル カロリー」を上記と同様に身体作りを意識して考えている方が多いようです。
今回、実際にスーパーで購入できる商品だけでなく、ベーグルは路面店で販売されているタイプも用意し、栄養成分や原材料などの背景から両者の違いを調べました。
ベーグルとパンの違い
結論から言えばベーグルはパンの仲間であり、小麦粉を使う点や発酵させるという点に於いては同じ食品群になります。
しかし、決定的な違いは使用される原材料にあり、それが食感やカロリーとして反映されます。
通常、日本で販売される食パンの原材料は小麦粉、卵、油脂、酵母、塩を用いて、1次または2次発酵工程を経て焼成されます。
対してベーグルは小麦、酵母、塩のみで作られ、1次発酵が終了したら生地自体を茹で、その後に焼成されます。
ベーグル・・小麦、酵母、塩
食パン・・・小麦、卵、油脂、酵母、塩
ベーグルの不思議
ベーグルを作る際に行われる「茹でる」は、他のパンには無い独特な工程でベーグルらしさの弾力と食感を作ります。
この茹でる工程をケトリング(Ketling)といい、「生地が膨張」すると同時に膨らみを抑え、ずっしりとした弾力のある食感を生み出します。
またお湯と生地が接する事でデンプンが糊化(こか)し、焼くと表面がパリッとした独特な食感を生み出します。
ベーグルとパンの栄養成分表
一般的なベーグルとパンの栄養成分を比較したリストになります。
油脂を使用しないベーグルの方が食パンよりもカロリーが少ないためヘルシーと言われていますが、実際の栄養成分表からは異なった事実が判明しました。
確かに脂質は食パンの半分程度となっていますが、カロリーはベーグルの方が約20kcal高い結果となっています。
100g当たりに含まれる炭水化物が影響しており、ベーグル特有の密度の高さからきています。
【ベーグル】
カロリー 270kcal
脂質 2.0g
炭水化物 54.6g
-食物繊維 2.5g
タンパク質 9.6g
※文部科学省-日本食品標準成分表2020年版(八訂)
【食パン】
カロリー 248kcal
脂質 4.1g
炭水化物 46.4g
-食物繊維 4.2g
タンパク質 8.9g
※文部科学省-日本食品標準成分表2020年版(八訂)
実際のベーグルと食パンの栄養成分
先述した栄養成分は文部科学省の日本食品標準成分表2020年版(八訂)になり、実際に店頭で販売されているベーグルや食パンも似たような値となるのか実際に調べてみました。
2023年現在、店頭で購入できる商品を選び下記に詳細を記載します。
1.Pasco/おからパウダー入りベーグル
たんぱく質 7.2g
脂質 1.2g
炭水化物 43.8g
食塩相当量 1.0g
小麦粉(国内製造)、粗糖、でんぷん、おからパウダー、発酵風味液、食塩、パン酵母、醸造酢、加工油脂、卵、モルトエキス、デキストリン、殺菌乳酸菌粉末/ビタミンC、(一部に卵・小麦・乳成分・大豆を含む)
2.Pasco/全粒粉入りベーグル
たんぱく質 9.6g
脂質 2.0g
炭水化物 43.4g
-糖質 38.8g
-食物繊維 4.6g
食塩相当量 1.0g
小麦全粒粉(国内製造)、小麦粉、糖類、でんぷん、小麦たんぱく、食物繊維、発酵風味液、食塩、パン酵母、加工油脂、糖蜜、醸造酢、卵、脱脂粉乳/ビタミンC、(一部に卵・小麦・乳成分・大豆を含む)
3.BAGLE&BAGLE/プレーン
たんぱく質 8.2g
脂質 1.0g
炭水化物 45.7g
食塩相当量 1.0g
小麦粉(小麦を含む、国内製造)、ミックス粉(砂糖、食塩、小麦粉、パン酵母)、パン酵母、砂糖、小麦たんぱく、糖蜜、醸造酢加工品(醸造酢)、モルトエキス、酵母エキス/乳化剤、酵素、V.C、調味料(核酸等)
4.BAGLE&BAGLE/シナモンとレーズン
たんぱく質 7.6g
脂質 0.9g
炭水化物 46.1g
食塩相当量 0.9g
小麦粉(小麦を含む、国内製造)、レーズン、砂糖、ミックス粉(砂糖、食塩、小麦粉、パン酵母)、パン酵母、、小麦たんぱく、シナモン、酵母エキス/乳化剤、酵素、V.C
1’.ヤマザキ/ダブルソフト
たんぱく質 6.1g
脂質 4.2g
炭水化物 29.1g
食塩相当量 0.7g
小麦粉(国内製造)、糖類、ショートニング、パン酵母、マーガリン、脱脂粉乳、卵、発酵種、牛乳、食塩、ナチュラルチーズ、植物油脂、乳清ミネラル、脱脂濃縮乳/乳化剤、イーストフード、香料、V.C、(一部に乳成分・卵・小麦・大豆を含む)
2’.イオン株式会社/ホワイトブレッド
たんぱく質 7.9g
脂質 4.0g
-飽和脂肪酸 1.3g
-トランス脂肪酸 0g
コレステロール 0mg
炭水化物 43.3g
-糖質 40.9g
-食物繊維 2.4g
食塩相当量 1.2g
小麦粉(国内製造)、砂糖、マーガリン(乳成分・大豆を含む)、食塩、パン酵母
添加物:酢酸ナトリウム、乳化剤、ビタミンC
上記の商品はどれも100g未満のため、比較の為に100gとして栄養成分を求めました。
栄養成分表示(100gあたり) | 1 | 2 | 3 | 4 | 1′ | 2′ |
エネルギー | 252.9kcal | 260.0kcal | 244.5kcal | 270.0kcal | 255.7kcal | 265.5kcal |
たんぱく質 | 8.4g | 11.2g | 8.9g | 9.2g | 8.7g | 8.7g |
脂質 | 1.4g | 2.3g | 1.0g | 1.0g | 6.0g | 4.4g |
炭水化物 | 51.5g | 51.0g | 49.6g | 56.2g | 41.5g | 48.1g |
エネルギーからみてみると一番低い「1.Pasco/おからパウダー入りベーグル」と一番高い「4.イオン株式会社/ホワイトブレッド」の差は12.6kcalとなり、食品栄養成分表と似たような結果となりました。
しかし、ベーグルの中でも「1.Pasco/おからパウダー入りベーグル」のように「3.ヤマザキ/ダブルソフト」と「4.イオン株式会社/ホワイトブレッド」の食パンよりもカロリーが低い商品も存在するので、限定的ではありますがヘルシーという事になるかも知れません。
また、脂質の量をみたときにベーグルの中で一番低い「1.Pasco/おからパウダー入りベーグル」は、食パンでも一番高い「3.ヤマザキ/ダブルソフト」と比較するとその差は4.2倍あり、どの商品かによっても大きく差があるのだという事が分かります。
太りやすさの評価
一般的に店頭で販売されるベーグルと食パンとでは、商品によって脂質の含有量が高い物やカロリーの高い物が両者それぞれで異なる事が分かりました。
一方、農林水産省の栄養成分表では、食パンに比べてベーグルのカロリーが約20kcal高く、脂質は少ないことが分かっています。
栄養成分表(農水省)をベースとして考えた場合、カロリーの観点から太りやすさはベーグルの方が上という事になります。
しかし、ベーグルや食パンを単体で召し上がる方は少なく、バターやジャム、野菜や肉類を一緒に合わせて食べる食習慣が一般的とされます。
上記を踏まえて考察すると何を一緒に合わせて食べるのかが太りやすさの評価に影響されるといえます。
ベーグルの食べ方
特に厚生労働省からは現代人の食生活で過剰に摂取している栄養素に「飽和脂肪酸」が挙げられています。
飽和脂肪酸は、脂質の仲間になり、乳製品や肉などの動物性脂質に多く含まれ、心筋梗塞をはじめとした循環器疾患のリスクが増加すると考えられています。
その為、脂質を控える事は健康面でも有効だと考えられます。
キャベツ+鶏ささ身
オリーブオイルで炒めたキャベツに塩で味付けした「キャベツのソテー」とオリーブオイルで炒めた鶏のささ身に塩コショウで味付けをした具材になります。
全体的にボリュームがあり、現代人の不足する食物繊維を補いつつ、たんぱく質もバランスよく含まれております。
ナッツ+クリームチーズ
ベイクしたベーグルにメープルクリームチーズとクルミがはさんであります。
クルミには多くの脂質が含まれますが、先述した飽和脂肪酸と違って「不飽和脂肪酸」と呼ばれる人体の健康を維持する上で欠かせない脂質が多く含まれています。
クルミが健康的な食品として注目を浴びた背景は、この不飽和脂肪酸の仲間で「オメガ3脂肪酸」が多く含まれている事からきており、心血管疾患の死亡リスクを下げる事が明らかとなっています。
レタス+ハンバーグ+チーズ
ベイクしたパンにハンバーガーと同じ具材をはさんだ食べ方になります。
野菜、肉類、穀類、乳製品とバランスよく一度に多くの品目を食べる事ができます。
農林水産省では1日に30品目食べる食習慣を推奨している点を考慮すれば、ベーグル単体ではなく、スープやサラダなどを追加して献立を整えるとより健康の観点から優れているといえます。
最後に
「食パンとベーグルはどちらが太りやすいか?」は、私が思っている以上に多くの方が気になるトピックなのだと感じます。
その上で実際の商品調査からは、脂質とカロリーが低いベーグルがありましたが、栄養成分表(農水省)ではベーグルの方がカロリーが高いという事が分かっています。
その上で太る太らないの基準というのは、摂取エネルギーだけの問題ではなく、消費エネルギーも加味して行う必要があります。
仮に脂質とカロリーの低いベーグルを食べたからといって、他の食事で摂取していれば太りにくいとは言えず、他方デスクワークが多い方が食べたとしても、日常的に運動不足であれば同様に太りにくいとは言えません。
大切なのはバランスよく、食パンであってもベーグルであっても栄養バランスを偏ることなく食べる事が重要であり、雑食性の我々人間は様々な食材から栄養を摂取して、健康を維持・増進できるように進化してきました。
また、食べる事と同じくらい重要なのが身体を動かす事であり、それは消費エネルギーを高める事だけに留まらず、ホルモン分泌や骨合成の促進と健康な身体を作る大きな役割を果たします。
この記事から食習慣の見直しや運動習慣の切っ掛けになれば幸いです。
【参照・引用】