筋力トレーニングと柔軟性

筋肉を鍛え過ぎると柔軟性が低下するという話があります。
これは正解とも不正解とも言い難い表現であり、筋力トレーニングによって柔軟性が向上することは多くの研究で示されている事は、多くの方はあまり知らないようです。

しかし、誤ったトレーニングによって柔軟性が低下するという例もある事からどのような違いが柔軟性に影響しているのか下記に記載していきます。

①柔軟性を向上する場合

適切にプランが立てられ実行されている筋力トレーニングは可動域全体を使う事によって柔軟性を向上するとされる。
これは肘関節や肩関節などそれぞれ固有の関節が持つ「可動域」に対して全体を動員する事により、筋や周辺組織が伸張性と弾性を持つことによって可動域が向上します。

また主働筋筋と拮抗筋の両方をバランスよく鍛える事も柔軟性を向上させる効果があるとされ、関節周囲の筋または筋群の偏った発達により可動域制限を回避する事からきています。

・可動域全体を使用したレジスタンストレーニング
・主働筋と拮抗筋の両方を発達させるようなレジスタンストレーニング

②柔軟性を低下させる場合

高負荷でなおかつ可動域全体よりも範囲の狭い可動域でトレーニングを行った場合、柔軟性を低下させるとされます。

これはトレーニングに限らず、人体の筋肉や関節組織の特徴として常に可動域全体を使用した動きをしなければそれらの組織は硬化し、柔軟性を失ってしまう生理的な現象から来ております。

また、関節周囲の筋や筋群の不適切な発達を促すトレーニングによっても柔軟性を低下させます。

これは筋量の過度な増加や筋の硬直によって起こるものではなく、不適切な発達の為に関節の働きを制限する事から来ており、例として上腕二頭筋と三角筋が大きい人は肩関節の屈曲と肘関節の屈曲の状態まで腕を上げる事が難しく、主働筋と拮抗筋のアンバランスな発達は可動域にマイナスの影響を及ぼします。

・高重量かつ可動域の狭いレジスタンストレーニング
・主働筋と拮抗筋のアンバランスな発達を促すレジスタンストレーニング

最後に。

筋力トレーニングによって柔軟性の向上は効果があるとされる一方で、不適切なトレーニングは柔軟性を低下させます。

正しい方法で行う事は筋力の発達のみならず、柔軟性にまでプラスの影響を及ぼします。

それぞれの関節が持つ固有の可動域を理解し、可動域全体を使ったトレーニングは筋量の増加だけでなく、柔軟性の向上にも大きく貢献してきます。