女性とトレーニング

男性と女性を比べた時による違いを性差では「生物学的な違いのみならず社会的な違いをも含む」と定義しています。
しかし、今回の場合は第一次性徴や第二次性徴といった生物学的な側面からトレーニングとする上で重要な点を以下に記載します。

性差は内分泌が大きく影響しており、見た目としての違いを大きく決定づける要因はホルモンであり、それらを分泌する働きを持つ内分泌器官で最たるものが生殖器になります。
女性に現れる現象として月経(生理)があり、正しく運動習慣を獲得する上でトレーニングとどのように関わっていくかが非常に重要になります。

「エストロゲン/卵胞ホルモン」

エストロゲンと呼ばれるホルモンは別名「卵胞ホルモン」と呼ばれ、乳房の発育や丸みのある女性らしい身体を作り、コラーゲンの産生、循環器や脳などの器官を正常に維持するほか、子宮内膜を厚くして妊娠に備える働きがあります。

エストロゲン(Estrogen)

「プロゲステロン/黄体ホルモン」

プロゲステロンは別名「黄体ホルモン」と呼ばれ、エストロゲンの働きによって熱くなった子宮内膜を受精しやすい状態に維持をする働きを持ちます。

また身体的な症状としてとして体温を上げ、食欲を増やし水分や栄養素をため込む働きがあり、妊娠機能の維持を担っています。


プロゲステロン(Progesterone)・・・妊娠維

「エストロゲンとライフステージ」

エストロゲンの分泌量により、身体には様々な変化となって現れます。
初経を迎え閉経までの症状以外にも閉経後に現れる特徴的な症状や病気があり、それらを以下に記載します。

思春期(10歳~18歳頃)
初潮を経験し、身体が成熟するためにエストロゲンの分泌量が増えていく。
月経不順・月経トラブルなど

性成熟期(18歳~45歳頃)
エストロゲンの分泌量が安定する。
月経困難症、過多月経、月経前症候群、子宮内膜症、子宮筋腫、不妊症など

更年期(45歳~55歳頃)
月経周期が変化し、閉経に至る前後の5年間は、エストロゲンの分泌量が急激に低下して体調変化として大きく現れる。
不妊症、子宮腺筋症、更年期障害など

老年期(55歳以降)
生活習慣病にかかりやすくなる。
更年期障害、膣炎、性交痛み、尿漏れ、脂質異常症、心血管疾患、骨粗しょう症など

「トレーニングとの関わり方」

運動をすること自体、生理中であっても特に問題はないとされます。
しかし、出血を伴う為いつものコンディションと違うという事を把握し、トレーニングを行う必要があります。
例えば水泳をトレーニングの日課としている場合、入水直前に清潔な生理用品を使用し、トレーニング後は交換をするといった小まめな対策が必要となり、いつものメニューもその日の体調によって変更する事が重要になります。

またウエイトトレーニングを行う場合も重量や回数などの設定を見直す必要があり、体温上昇から気分が悪くなったり、汗を過剰にかく方もいる為、小まめな水分補給を行ういった視点も大切になります。
スタジオレッスンや有酸素運動(ランニングやバイク)をされる方は、貧血状態にあるという事を忘れず、主観的なキツさをしっかりと捉える事が大切です。特に体内の血液量の減少が酸素運搬能力を著しく低下させる為、体調チェックいつもより意識して行う事が必要になります。

・生理中はトレーニング(量・時間・強度など)を見直す必要がある
・痛みや出血過多の場合は臆せず休む
・トレーニング前中後の体調を把握する
・トレーニング強度を柔軟に設定し、その積み重ねからベストなものを選ぶ

「最後に。」

生理中でも運動をする事により、痛みの軽減や体調の安定化を図る事が出来るとされます。
その為に生理中は運動とどう向き合っていくかが大切になります。
身体のコンディションを知り、その都度トレーニングを考え見直す行為は、トレーニングと生理が上手く付き合っていく重要な習慣となります。