20~30代女性の痩せとその背景

2017年5月6日に若い世代が拒食症に陥る危険性を鑑み新たな法律が仏国で施行されました。

これによればBMI(体格指数)が基準値未満ではなく、全体的に健康であることを証明する医師の診断書をフランスで活動するモデルに対して提出を義務付ける内容となっています。

保健省では法制化の目的について、瘦せ過ぎのリスクにさらされるモデル達の健康を守る事や達成できない美に対する観念の奨励を防止し、若年世代への拒食症を防ぐ等を挙げています。

20~30代女性の痩せの割合

国民健康・栄養調査によるとBMIが18.5未満の「痩せ」と判断される女性の割合は、全年齢に対して20~30代女性の割合が高いことが分かりました。

2018年のグラフでは全体の11.2%が痩せとされ、20代は19.8%、30代は19.3%とそれぞれで全体の痩せの割合よりも2倍近くの人数がいると分っています。

この背景には、細い身体への憧れや体重(㎏)ベースのダイエットが横行している事など多くの理由が考えられます。

20~30代の痩せの割合(1996~2018年)

・グラフから20代、30代の痩せは常に全体の痩せを上回る状態になっている

20210926

低出生体重児と痩せの女性

生れる子供たちは出生前の母体の影響を強く受ける事が分かっています。

下記統計より、1980年から2015年まで出生数に占める低出生体重児の割合が5.2%から9.5%と上昇しているのが分かります。

出生体重は妊娠前の母体体重によって影響し、小さく生まれた子供は、健康や障害、発育・発達など成人後も含めた健康に関わるリスクが高まることが示唆されています。

低出生体重児のリスク
・高血圧
・冠動脈疾患
・2型糖尿病
・脳卒中
・脂質異常
・神経発達異常

20210926

痩せ過ぎによる弊害

拒食症などの精神的な側面や出生前の母体からみた身体的な側面を考慮すると、極端な痩せは好ましい状況ではないと考えられています。

美への観念は時代と共に移り変わる事もあり、細さへの憧れが一層強い時代へとなったように感じています。

インターネットの発達によりSNSを利用した情報の伝播が急速に広がり、体重を落とす為だけに焦点を当てた短期的なダイエット方法やそれにまつわる投稿が多くされているようです。

正しいダイエットは必要な筋肉量や骨量を維持し、体脂肪量を落とす事にあります。

しかし、その為には無理のない食事方法や運動メニューを継続して続ける事で習慣や生活自体を大きく変化させることが重要です。

体重を減らすだけのボディメイクの弊害
・拒食症などの精神的な弊害
・低出生体重児などの身体的な弊害

ダイエットを行う上で推奨される身体作り

多くの女性が望む理想的な体形は「引き締まった細い身体」と捉える事が出来ます。

確かに体重を落とす事によって全体的にボリュームが落ち細くなる事は可能ですが、カウンセリングを実際に行ってみて「細くなりたいが胸のサイズは落としたくない」や「体重を下げたいけどお尻や腰回りのくびれは強調したい」といった体重を落とす事で現れるデメリットも一定数考えているように感じます。

結局のところ、目標とする「理想的な体形」になる為にその手段が「体重を落とす事」と認識している方が多くいるようで、実際にSNSやメディアの広告を拝見すると同様の展開で推し進めている物が多いです。

目標と手段の関係で手段には様々な方法があり、どれにもメリット・デメリットが存在する為、それらをしっかりと説明する事が大切です。

そして健康と体力の観点からみれば、クライアントの健康を推進する生活習慣を提案し、体脂肪率ベースに考える身体作りをサポートする事が若年層の女性には重要と考えています。

推奨される20~30代女性への身体作り

×短期間で急激に体重を落とす方法 → 〇無理のない計画で徐々に体脂肪を落とす方法
×一時的に我慢できる食生活 → 〇続けられる食生活と栄養バランス
×結果だけを視野に入れた運動 → 〇定期的に継続できるレベルの運動

~参考文献~
低出生体重児 保健指導マニュアル/みずほ情報総研株式会社
痩せ過ぎモデルを規制する法施行 フランス