コロナウイルスで承認された薬

日本に於いてコロナウイルス感染症のワクチン開発は米国や英国に比べて後手に回ってしまった背景は色々考える事が出来ます。
しかしながら多くの研究者が日夜、粉骨砕身し新しい治療方法を模索する姿勢には頭が下がる気持ちでいっぱいです。
コロナウイルス感染症が流行している現在から遡って約1年半の期間で国内では3つの薬が承認されました。
それらの特徴をひとつひとつ見ていきたいと思います。

「レムデシビル」

レムデシビルは中国やWHOが主働した連帯試験で有効性は証明されていませんが、国内の臨床試験では有効性が認められた薬になります。
ウイルスのRNAポリメラーゼを阻害して増殖を抑制する作用があり、承認時期は2020年5月になります。
もともとエボラ出血熱の治療薬として開発されており、新型コロナウイルスに対しても複製を担う酵素を阻害する事から治療薬として承認されました。

RNAポリメラーゼを阻害
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00021.html

「デキサメタゾン」

デキサメタゾンは半世紀以上に渡って幅広い領域で使われている薬になり、抗炎症作用や免疫抑制作用を持つステロイド薬です。
静脈注射か経口により投与され、従来から効能・効果に「重症感染症」が含まれていた特徴があります。
2020年7月に承認された合成副腎皮質モルモン剤になります。

抗炎症作用・免疫抑制作用
デキサメタゾン
日医工株式会社 https://www.nichiiko.co.jp/oncology/product/index.php?keyword=%83f%83J%83h%83%8D%83%93

「バリシチニブ」

バリシチニブは関節リウマチの薬として利用されていた経緯があり、サイトカインよるシグナル伝達に関係するヤヌスキナーゼを阻害して炎症を抑える働きがあります。
サイトカイン(Cytokine)とは細胞間相互作用に関する生理活性物質の総称になり、標的細胞に情報を伝達し、細胞の増殖、細胞死、機能発現や細胞の分化など細胞に関して応答を引き起こす特徴を持っています。
経口から摂取するバリシチニブは、炎症性サイトカインの過剰な炎症反応であるサイトカインストームによる症状の悪化に対して、抗炎症作用を持つ事から新型コロナウイルスに有効と研究が進められてきました。
2021年4月に承認され、適応症の拡大を順次行う見込みとなっています。

免疫系のシグナル伝達に関わる酵素を阻害
バリシチニブ(オルミエント)
https://www.olumiant-doctor.jp/olumiant/olumiant-doctor

※参照記事【1年半で承認された3つの薬】