パーソナルトレーナー・コンサルティング
日本の場合、パーソナルトレーナーは無資格で行える業種であり、ここ数年で店舗数の増加、単価の減少、指導中に発生する事故や傷害の増加など様々な変化がみられました。
私はフィットネスの業界に入り15年以上が経過し、多くのジムやパーソナルトレーナーが直面する問題を目の当たりにし、個別の相談を受ける中で多くの時間を費やしてきました。
その中で私が経験的に得た視点や客観的なデータを基に、「パーソナルトレーナーとして安定した活動を目指す方々へ」私の考えを僭越ながらこちらに記載します。
パーソナルトレーナーとは何か?
「筋トレを教える人」、「ダイエットに詳しい人」、「コンテストで入賞した人」など多くの人がイメージするパーソナルトレーナーは千差万別だと感じます。
その上でパーソナルトレーナーとは何かを再定義します。
個別のアプローチを用いて健康と体力のニーズに関して、評価・動機付け・教育・トレーニングを行う健康と体力の専門職であり、緊急事態では適切に対応できる技能を兼ね備えた専門職
また、自らの職務範囲を理解し、必要な場合にはクライアントを他のヘルスケア専門職に照会を行う。
※NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識第2版/p162「面談と健康評価の目的」より
つまり簡潔に言えば
健康と体力の観点から、評価・動機付け・教育・トレーニングという手段によってクライアントをサポートする専門職です。
専門職としての「パーソナルトレーナー」
「専門性を必要とする職であり、日本では国家資格を必要とする職業を指す場合が多い一方で、近年では国家資格不要であっても、高度な専門知識が必要となる仕事も専門職と呼称する場合が多い(Wikipedia)」
つまり、端的に言えば
「特定分野や領域のスペシャリストであり希少価値の高い人材」と言えます。
先に「パーソナルトレーナーは無資格で行える業種」と書きました。
それだけ多くの人が参入しやすい業界であるという一方で、一人ひとりのレベルに圧倒的な差が生まれやすい職種とも言えます。
パーソナルトレーナーが目指すべき専門職とは、
「資格を持っている」という事でも、
「沢山の人数を指導している」という事でも、
「コンテストで入賞している」という事でも、
「短期間で何キロ体重を落とせる」や「SNSのフォロワー数の多さ」という事でもありません。
パーソナルトレーナーが目指すべき専門職とは、
個別のアプローチ(評価・動機付け・教育・トレーニング)を用いて健康と体力の観点からサポートを行い、緊急事態では適切な対応・職務範囲を超える領域は他の専門職へ照会を行う者
残念ながら現時点で、専門職であることを示す免許や資格はありません。
だからこそ大切なことは「日頃から専門職としてどのように学び、どのように技能を磨き、どのような活動をしているか」が重要となります。
どのように学び。
一個人の経験によるトレーニングは、その本人以外の誰かに当てはまる保証はありません。
しかし、科学的な手続きを元に導き出されたトレーニングやプログラムは、多くの方に当てはまる手法です。
専門職としてのパーソナルトレーナーは、科学的な背景を常に学び続ける必要があります。
協会や団体が発行する書籍やジャーナルは、この科学的な背景をベースにした最も信頼のおける情報です。
故に、パーソナルトレーナーは団体や協会に所属する事でこれらの情報にアクセスし、最新の知見を学び続ける事で専門職としての価値を高める事が出来ます。
どのように技能を磨き。
私がフィットネス業界へ就職した頃、パーソナルトレーナーは高等教育機関で体育学を履修した人や、競技者・指導者を経た人が、認定資格を受けた上で活動をしていました。
しかし、現在多くのパーソナルトレーナーは
資格だけ取得した人、ダイエットに成功した人、筋トレが好きで始めた人などが大半です。
しかし、前者と後者では圧倒的な違いがあり、一言で言えば「技能」です。
「教養や訓練を通して獲得した能力(Wikipedia)」
体育学の学校や競技者・指導者は、様々な背景を踏まえて実地的にトレーニングを学びます。
それは「体重を減らすだけのプログラム」や「筋肉を肥大させるだけのプログラム」ではなく、
神経筋を総合的に捉えるストレングスの領域や、それらを総合するコンディショニングの領域と幅広い視点で多くのトレーニングを学びます。
そして、それら領域は新しい研究によって日々変化します。
専門職としてのパーソナルトレーナーは、研究に裏付けられたトレーニングに対する様々な技能を実地的に習得し続ける必要があります。
故に、パーソナルトレーナーは勉強会やセミナー等でトレーニングに対する様々な技能を習得し続ける事で、専門職としての価値を高める事が出来ます。
どのような活動をしているか。
専門職としての知識・技能があっても実際にクライアントをサポートする事がなければ、パーソナルトレーナーとは言えません。
また、専門職としてのパーソナルトレーナーは、活動を通してインプットとアウトプットを自身に課すことで自身も成長させなければいけません。
子ども、成人、高齢者と年齢ごとによってサポートする内容も異なるだけでなく、性別、既往歴や運動頻度、ライフスタイルなど様々な観点でみても体力レベルが異なります。
様々なクライアントに対し、サポートをすることで専門職として生きた経験に繋がります。
専門職としてのパーソナルトレーナーは、安全で効果的なプログラムを提供し、クライアントの目標達成をサポートし続ける活動を通して自身も成長させます。
故に、クライアントを実際にサポートする事で、専門職としての価値を高める事が出来ます。
多くのトレーナーが悩む「集客」について。
パーソナルトレーナーや広告代理店の方から、決まって第一声は「集客はどうやっていますか?」になります。
パーソナルトレーナーに限らず、個人で活動する方々は基本的に何らかの集客を行っているようで、それらは以下の種類があるようです。
リスティング広告…「検索連動型広告」とも呼ばれ、検索エンジンでユーザーが検索したワードに関連する広告を上位に表示する方法
例:Google広告、Yahoo!広告など
ディスプレイ広告…「バナー広告」とも呼ばれ、アクセス数が多いWEBサイトへ画像や動画、またはテキストを用いて自社のURLへ紐づけする広告
例:A8.net、valuecommerceなど
SNS広告…SNS上のプラットフォームに配信する広告
例:Facebook、X、Instagram、LINEなど
フリーペーパー広告…街頭や駅構内に設置されているフリーペーパーに掲載する広告
例:ホットペッパー、タウンワークなど
私自身、どのような集客をしているかと言われればジムを紹介するホームページと、自身のブラッシュアップのためのSNSの2つのみで、先述した有料の広告は一切行っておりません。
専門職としてパーソナルトレーナーを確立させる。
私のエリアでは、ここ数年でパーソナルジムの店舗数が3倍近くになりました。
そのような中で立ち上げ当初と変わらず、パーソナルトレーナーとして活動出来ている理由を考えた時、恐らくこの1つ帰結されるように思います。
「専門職の観点からクライアントをどれだけサポートできるか?」
例えば「ダイエット」を目的にクライアントをサポートする場合、目標が達成されたらトレーニングを継続するモチベーションが下がります。
それもその筈、運動の目的が「ダイエット」から「体型の維持」とそれ以上の。
運動初心者のクライアントから見た場合、ただでさえ大変なトレーニングを現状維持の為に継続すること自体が苦痛になります。
パーソナルトレーナーは「健康と体力の観点から、評価・動機付け・教育・トレーニングという手段によってクライアントをサポートする専門職」です。
ダイエットだけの専門職ではありません。
「ダイエット」も健康と体力の観点で考えた場合、日々の習慣や継続的な運動を行う事でダイエット以上に多くの恩恵がある点を正しくお伝えしながらトレーニングを行います。
その結果として、運動を続けること自体が健康や体力に大きく繋がり、日常生活でより心身ともに充実した生活を享受する事が出来ます。
続けて貰う為のテクニックはあるか?
この質問を数多く頂きます。
その時、私は決まって次のように答えます。
「学問に王道なし。」
これは紀元前のエジプトでプトレマイオス王が幾何学の勉強をしていた際に、もっと簡単な書籍はないのかと著者であるエイクレイディスに尋ね返答された言葉です。
クライアントは、パーソナルトレーナーへ時間と料金を費やし依頼をしています。
上辺だけのテクニックで自身を着飾るのではなく、根本からサポートできるパーソナルトレーナーを目指します。
そうなった時、本当の意味で専門職としてのパーソナルトレーナーであり、クライアントから継続的に依頼をされる人材になります。
簡単でないからこその「専門職」
始めに断言すれば専門職としてのパーソナルトレーナーになる為には時間が掛かります。
言い換えれば時間が掛かるからこそ、誰でもなれる訳ではないのです。
その道のりは長いかも知れません。
しかし、あなた自身が現在サポートしているクライアントを包括的にサポートしたいとお考えなら、これだけ遣り甲斐のある職種はなかなか見当たらないかも知れません。
もし、「専門職としてのパーソナルトレーナー」になりたいと強く思ったのなら、以下より連絡を下さい。
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